「笑う門には福来たる」という言葉があるように、笑いが心と体に良いことは昔から経験的に分かってきました。
人間の体は、笑うと脳波の一種のアルファ波が増えて心身がリラックスするだけでなく、思考時に増えるベータ波も増えて、脳全体の機能も良くなるのだといいます。
また、笑ったあとには脳の血流量が増え、末梢神経にまで血液が行き渡り、新陳代謝が良くなるという実験結果が出ています。
変化が現われるのは脳だけではありません。
笑う前後の動脈血を調べると、酸素の分圧が増えているという。これは、血液がアルカリ性になったということ。現代人は肉食やストレスなどで血液が酸性に傾きやすいが、笑いがそれを緩和してくれるようです。
また、がん細胞や細菌に侵された細胞を死滅させるナチュラルキラー細胞(NK細胞)を、笑いが活性化させるということも分かってきました。
一部の医療機関では笑いの効用に注目し、リウマチなどの痛みの強い病気に罹っている人のリハビリ治療に落語を取り入れています。
痛みや将来動けなくなるかもしれないという不安を、笑っている瞬間はすっかり忘れて無の状態になることで、ストレスが軽減されるといいます。
また、痛みは心理的要因に左右されるが、笑いには痛みを和らげる効果があることも、患者の聞き取り調査によって分かっています。
笑いは、心と体の元気を取り戻す生活の知恵です。大いに笑って、気分転換しましょう。ただし、人をおとしめるような笑いは逆に害になるそうなので、楽しい笑いの種を見つけましょう。